FIDESレター 2025年9月号
消防設備点検 「備え」だけでは守れない!

消防設備には点検実施の義務があります
消防法(第17条の3の3)により、消防用設備等を設置することが義務づけられている建物の関係者(所有者・管理者等)は、設置した消防用設備等を定期的に点検し、その結果を消防長又は消防署長に報告する義務があります。この消防設備点検は様々な器具が対象になっており、建物の用途や規模により、消防設備士又は消防設備点検資格者の点検が必要となります。(下記①②参照)

①点検対象器具
避難器具

◎避難器具
◎誘導灯
◎その他避難器具
警報器具

◎火災報知設備
◎ガス漏れ火災
警報設備など
消火器具

◎消火器
◎屋内消火栓設備
◎スプリンクラーなど
消防器具

◎排煙設備
◎連結散水設備
◎連結送水管など
②点検対象の建物
1.延べ面積 1,000㎡以上の特定防火対象物

デパート・ホテル・病院・飲食店など
2.延べ面積 1,000㎡以上の非特定防火対象物 (消防長又は消防署長が指定したもの)

工場・事務所・倉庫・共同住宅・学校など
3.屋内階段(避難経路)が1つの特定防火対象物

特定防火対象物と非特定防火対象物の違い
「防火対象物」とは、消防法で定められた建物や施設で、火災による危険性を考慮し防火管理の対象とされるものです。このうち「特定防火対象物」は、不特定多数が利用し避難困難になりやすい施設(病院、ホテル、店舗など)であり、一方「非特定防火対象物」は、主に特定の人が利用する施設(事務所、工場、学校など)になります。このどちらかによって、点検結果の報告期間が変わります。
◎特定防火対象物

不特定多数の人が利用する用途の防火対象物。
◎非特定防火対象物

決まった人(従業員・作業員など)が利用する用途の防火対象物。
消防設備点検は結果の報告義務があります

消防設備を点検した結果は、建物の用途によって決められた期間ごとに提出する必要があります。消防法17条3の3 に規定され、消防用設備等を設置した建物には年2回の設備の点検と所轄の消防署へ1年に1回(特定防火対象物)、または3年に1回(非特定防火対象物)の点検結果の報告が義務付けられています。(左図参照)
点検の種類としては、半年に1回行う機器点検、そして1年に1回行う総合点検があります。(下図参照)総合点検を行う際は機器点検と合わせて行うので、年に1度の総合点検と機器点検を合わせた点検、年に一度の機器点検のみの点検の合計年2回(半年で1回)の点検が必要です。
消防設備点検の種類と頻度
機器点検(6ヶ月に1回)

設備等の適正な配置、損傷の有無などを外観から点検します。設備が適正な配置であるか、消火器の場合はへこみがないかなどを点検します。
総合点検(1年に1回)

設備の全部又は一部を作動させ、総合的な機能を確認します。実際に設備を作動させ、有事の際にしっかり機能し適切な避難を行うことができるかを点検します。
誘導灯と非常灯の点検について
誘導灯・非常用照明器具は、消防法の消防用設備等及び建築基準法の建築設備として、関連法令に基づき、維持管理し、定期点検及び報告をする義務があります。各器具は、非常時・災害時に備えて確実に避難誘導できる機能が維持されなければなりません。また、法定点検は定められた基準に従い行なう必要があります。

誘導灯は消防法で点検が義務付けられています!
停電時は内蔵バッテリーで点灯

非常時点灯時間
連続20分間以上
(60分点灯タイプもあります。)
(規定の表示面輝度の確保)
(消防法施工規則 第28条の3)
非常灯は建築基準法で点検が義務付けられています!
停電時は内蔵バッテリーで点灯

非常時点灯時間
連続30分間以上
(60分点灯タイプもあります。)
(規定の照度の確保)
(建築基準法施工令 126条の5に基づく 昭和45年建設省 告示第1830号)
※日本照明器具工業会パンフレットより作成
誘導灯・非常灯の点検方法(簡易点検)
各器具の点検スイッチを押して(またはヒモを引いて)、充電モニタを確認してみましょう。


※こちらは簡易点検の方法です。法律によって定められた定期点検は、有資格者による点検が必要になります。

フリートーク・コラム「アウトレットモール紀行 」
先日、埼玉県の「ふかや花園プレミアム・アウトレット」へ足を運んできました。関東のアウトレットモールといえば、千葉県の「三井アウトレットパーク木更津」や「酒々井プレミアム・アウトレット」が有名ですが、今回訪れたふかや花園はそれらとは少し趣が異なる印象を受けました。
まず大きな特徴は、秩父鉄道「ふかや花園駅」のすぐ目の前に位置している点です。多くのアウトレットモールは車での来場を前提に立地していることが多く、酒々井も木更津も最寄り駅からはバスを利用しなければならない距離があります。その点、ふかや花園は駅を出ればすぐにゲートが見えるほどの近さ。電車でアクセスできる気軽さは、運転をしない人にとって大きなメリットだと感じました。
そして施設全体の雰囲気も印象的でした。周囲は田畑が広がり、遠くには山々の稜線が見えるというロケーションです。ショッピングモールでありながら、自然に囲まれた開放感があり、木更津の湾岸的な景色とも、酒々井の成田空港近くという立地とも違った「のどかさ」が漂っています。買い物の合間にふと視線を上げると、抜けるような青空や季節の風景が目に飛び込んでくるのです。アウトレットモールに出かけているのに、ちょっとした小旅行に来たような、不思議な感覚になります。
一方で、人の多さには驚かされました。近年オープンしたこともあるのか、週末ということもあってか、かなりの混雑ぶりです。木更津や酒々井も休日は混雑しますが、駐車場や通路が広く整備されているため、比較的スムーズに回遊できます。それに比べると、ふかや花園は敷地規模がややコンパクトなため、開業直後の人出が施設全体のキャパシティを少し上回っている印象でした。とはいえ、時間が経つにつれて落ち着いてくるのではないかと個人的に予想しています。
店舗ラインナップに関しては、木更津のように店舗数の多さで圧倒する規模感はありません。酒々井と比べてもやや少なめですが、そのぶん通路の動線がわかりやすく、迷いにくいという利点があります。また、地元埼玉の食材や名産品を扱った店舗も点在しており、「埼玉ならでは」を感じられる構成になっている点も興味深いところでした。観光客だけでなく、地元の人にとっても気軽に立ち寄れる存在になっていくのではないでしょうか。
ふかや花園プレミアム・アウトレットは「アクセスの良さ」と「のどかな景観」という点で、他のアウトレットにはない魅力を備えていると感じました。電車でふらりと訪れて自然を感じながら買い物できる点は大きな強みです。今後、店舗の拡充や周辺観光との連携が進めば、さらに個性的なアウトレットモールとして存在感を増していくことを期待しております。
今月の担当は…
保安管理
熊谷 純司


それってドーシテ?カルビのドーシテ?

フィデス社長コラム ”らしさ”を守り継ぐ
このたびの本社移転に際し、多くのお祝いと励ましのお言葉を賜り、心より御礼申し上げます。
引っ越しにあたり、環境整備の基本に立ち返り、「6か月以上使っていないものは処分する」と決め、机の引き出しやキャビネット内の書類・備品の整理を進めました。その中には、私にしかできない特別な任務がありました。それは、故・並木会長が長年使用されていた机とキャビネットの整理です。単純に物を捨てるわけにはいかず、慎重に、そして確かな覚悟を持って取り組みました。
引き出しの一段目には、名刺が業種別に整然と整理されていました。さらに、経営に関する重要資料、社内プロジェクト資料、お客様関連のファイルが丁寧に綴じられ、並木会長の几帳面な性格がそのまま表れていました。そして、赤ペンで書き込まれたメモや思いのこもった走り書きを見つけたとき、胸が高鳴りました。なかでも丁寧に保管されたバックナンバーの『フィデスレター』を手にし、自分が執筆した社長コラムを思わず読み返しました。驚くほど素直でわかりやすい言葉が並び、不思議と当時の記憶や思い出がよみがえってきました。
そして、ふと考えたのです。「最近の自分のコラムは、誰かの心に残っているだろうか」と。
いまや生成AIの進化は目覚ましく、私自身もコラムや挨拶原稿の作成にあたり、文法や文脈、「てにをは」の確認にChatGPTの力を借りています。非常に便利なツールであることは間違いありません。無理に背伸びせず、人となりを感じてもらえるよう心がけていましたが、知らず知らず、整った文章に意識が向くあまり、自分らしさや人間味が“行間”から薄れてしまっているのではないか。そんな懸念も抱いていました。
その折、創業者が社員に語った「らしさ」の訓話を思い出しました。
「新入社員は新入社員らしく、課長は課長らしく、社長は社長らしく。そして、城南電設(旧社名)の社員らしく。」この言葉は、立場にふさわしい責任と姿勢を求めると同時に、型にはまらず“自分らしさ”を失わず役割を全うせよという、深い教えです。
城南電設“らしさ”とは、誠実で真面目であり、お客様との約束はどんなことでもやり抜く姿勢です。「できない約束はしない」――その信念こそが、私たちが築いてきた信頼の源であり、まさに創業者の“生きざま”そのものだと考えています。面倒な小さな工事であってもお断りせず対応し、お客様がお困りのときは休日でも夜中でも台風の中でも、1時間以内に駆けつける。その姿勢が、今日まで私たちの歩みを支えてきました。現在の社名にラテン語で「信頼」を意味する『フィデス』を掲げた以上、わが社が存続する限り、この“城南電設らしさ”を守り続けます。その想いはすでに社員一人ひとりの心に根付いていると信じています。
時代は移り、技術も環境も大きく変化しています。しかし、新しい技術――生成AIのようなものを取り入れたとしても、本質を見失わず、型にはまらず、そして軸をぶらさず、自らの役割と“自分らしさ”を問い続けてまいります。社員一人ひとりの“らしさ”を結束し、お客様のお困りごとに真摯に向き合う。それこそがフィデスの“らしさ”であり、これからも変わらぬ私たちの信条です。
この“らしさ”を大切に守り継いで、わが社に関わるすべての人々にお届けすることをお約束します。

