人と建物を支える!施設空調のしくみと保全
FIDESレター 2026年3月号
■ 室内の空気を調整することの大切さ
『空気』は食べ物や水以上に、人が生きていくうえで欠かすことのできないものです。人体に取り込まれる物質の重量比においては、空気が約83%、食べ物が約7%、飲み物が約8%を占めています。さらに、その空気のうち、室内で過ごす時間に取り込む『室内空気』は約57%と、大半を占めています。
そのため、空調設備を活用して室内の空気を適切に調整することは、体調管理の面でも非常に重要です。
■ 施設空調とは?
体育館や工場、商業施設、学校、病院などの広い建物や大空間を対象にした空調設備のことを施設空調と呼びます。施設空調は単に温度を下げたり上げたりするだけでなく、人の快適性の確保、作業環境の維持、製品品質の安定、さらには安全対策の一部としても重要な役割を担っています。
■ 施設空調は、3つの『役割』で動いている
①空気をつくる
(熱源装置)
建物の一箇所に設置されている大きな空調機が熱をつくり、空気を冷やしたり暖めたりします。(ここで湿度を整えることもあります)
③空気を整えて送る
(空気調和設備)
空気の浄化や、温度・湿度の調整を行い、その空気を部屋の中などに送ります。コイルや加湿・除湿器、エアフィルターなどが該当します。
■ 施設空調の空調方式は大きく分けて2種類
中央空調は建物全体で管理する設備、個別空調は各室(系統)単位で管理する設備という違いがあります。
セントラル空調方式
(中央空調方式)
ビルなどの建物全体の空調を一元的に制御する方式です。冷凍機やボイラーなどの熱源機を中央機械室などに集約し、そこでつくった冷水・温水を建物内に循環させることで、室内の温度を調整します。
パッケージ方式
(個別空調方式)
部屋やフロアごとに空調設備を設置する方式です。中央熱源は設けず、熱源と空調機が一体となったタイプや、室内機と室外機を冷媒配管で接続するタイプがあります。(ルームエアコンもこの方式です)
\ パッケージ方式の空調機メンテナンスは行っていますか? /
■ 性能維持や故障予防には内部清掃を
空調機の機種や室内の広さ、使用環境などにもよりますが、業務用空調機の適切な清掃(内部清掃)の頻度は一般的には2~3年に一度となっております。ただし、24時間営業の店舗(コンビニなど)や、長く稼動する工場などで常に空調機をフル稼働させている場合、美容室や飲食店などの店舗で空調機のフィルターが汚れやすい環境である場合は頻度が高くなります。1ヶ月に1回のフィルター清掃、1年に1回の専門業者による内部清掃を行うようにしましょう。
■ 内部洗浄は専門業者に依頼しましょう
空調機を分解して行う内部洗浄は、専門的な知識や技術が必要です。無理に作業を行うと、不具合や故障の原因となるおそれがありますので、必ず専門業者へご依頼ください。なお、冷暖房を使用するオンシーズン(6~8月/12~2月)は業者の繁忙期となることが多いため、業者が比較的対応しやすいオフシーズン(4~5月/10~11月)に計画されることをおすすめします。
↑室内機の内部を洗浄した排水が真っ黒に。定期的に内部洗浄をしましょう。
①分解・取外し
本体の動作確認の上、外装パネルを取り外し、エアコン内の各種部品を分解して外していきます。
②養生・洗浄
水の飛散を防ぐために養生(シートでカバー)をします。高圧洗浄機などの機械を使い、丁寧に洗浄します。取り外した各種部品なども洗浄します。
③乾燥・組み立て・乾拭き
すべて洗浄後、乾燥させ、元の通りに組み立て、全体を乾拭きします。
《フリートーク・コラム》「デジタル化は現場をどう変えた?」
最近よく耳にする『デジタル化』や『AI』という言葉。ニュースやインターネットでも当たり前のように出てきますが、正直なところ、最初は「なんだか難しそうだな」と感じていました。本当に現場で役に立つのか、今までのやり方を変える必要があるのか、少し不安もありました。
しかし、ここ数年で現場の様子は確実に変わってきました。今ではタブレットを持って現場を回ることも珍しくありません。必要な資料をその場で確認できるので、わざわざ事務所に戻る回数が減りました。図面の最新版もすぐに共有できるため、「あれ、どれが最新だっけ?」と迷うことも少なくなりました。大きな変化というよりは、日々の小さな手間が少しずつ減っている、そんな感覚です。
デジタル化が進んだからといって、すべてが自動でうまくいくわけではありません。現場では今も、人が考え、判断しながら仕事をしています。危険を察知すること、仲間の様子に気づくこと、状況に応じて段取りを変えること。こうした部分は、やはり人にしかできません。AIやデジタル技術は便利ですが、あくまでサポート役です。主役は今も、現場で働く人達です。
新しい仕組みを取り入れるときには、戸惑うこともあります。「前のやり方のほうが楽だったな」と思うことも正直あります。操作に慣れるまで時間がかかることもあります。それでも、使い続けていくうちに「これは助かるな」と思える場面が増えてきます。結局は、自分たちの現場に合う形を探しながら、少しずつ前に進んでいくしかないのだと思います。これからも技術は進化していくでしょう。しかし、大切なのは流行に振り回されることではなく、現場にとって本当に役立つ形で活かすことです。安全で、働きやすく、無理のない現場をつくるためにどう使うか。それを考えるのは、これからも現場で働く人です。
デジタルやAIと人がうまく力を合わせれば、現場はもっとよくなります。焦らず、一つひとつ試しながら、自分たちのやり方をつくっていく。そんな姿勢をこれからも大切にしていきたいと思います。
今月の担当は…
取締役
赤羽 紀行
《それってドーシテ?》『ウワバミ』のドーシテ?
《社長コラム》
選ばれる会社であり続けるために
代表取締役社長 細矢 充
第76期も終盤を迎えました。おかげ様で過去最高の売上も見込める状況となり、受注高をはじめとする経営目標もほぼ達成できる見通しです。まず何よりも、日頃よりご愛顧いただいているお客様へ、心より御礼申し上げます。
お客様からは日頃よりご相談、ご発注、そして時には厳しいご指摘をいただいております。至らぬ点もございましたが、今期も無事故で品質と納期を守ることができました。お客様のお声の一つひとつが我々を鍛え、育ててくださいました。企業はお客様によって磨かれる――この一年、その事実を強く実感し、感謝しております。
お客様はわが社にとって大切な“財産”です。長年積み重ねてきた信頼こそが最大の資産であり、その信頼は一度失えば簡単には戻りません。だからこそ、どのような環境下にあっても、お客様の安全と品質を最優先にしてまいりました。老若男女、育った環境も価値観も異なる社員が一つの目的に向かって歩んでおります。当然、考え方の違いはあります。しかし、その違いを特徴と捉えれば、組織はより強固になることでしょう。
今、業界を問わず人手不足は常態化し、人件費は上昇、資材価格も高騰しています。初任給の引き上げや待遇改善の報道が連日のように伝えられており、「人手不足」は深刻な課題です。わが社の経営の師である一倉定先生は、現在の少子高齢化による人手不足と市場構造の変化を30年ほど前から指摘されていました。人口分布データで見れば明らかな未来でしたが、その変化に十分備えてきたかと問われれば、反省が残るところです。そんな状況で社員数を思った通りに増やすことはできません。それでも売上を伸ばせているのは、社員の頑張りであると自負しています。若手の成長を中堅が支え、ベテランが背中で示す。女性技術者も定着し、バックオフィス体制も浸透し始めています。スキルと生産性が着実に向上していることはもちろん、多くの協力会社様からの力添えのお陰であります。何よりお客様のご期待があってこそです。お客様なくして我々の生活は成り立たず、人なくして経営は成り立ちません。お客様という大切な財産に対し、宝である「人財」でお応えする。それが企業としての礼儀であり、責任であります。
その人財確保には、採用から育成・成長、そして定着までが「カギ」となります。ひと昔前の教育指導方法は全く通用しない時代です。かと言って、過度の優しさが最善であるとも限りません。私たちの仕事は社会インフラを担うものであり、安全と品質が命です。成長を願い、責任ある指導と行動で“叱る”ことも必要であると胸に刻んでまいります。企業とは個人の集まりであり、一人ひとりの成長の積み重ねこそが信頼につながります。わが社の経営理念のひとつである「人間尊重」、そして「社員は家族」という創業者の遺訓もあります。社員を大切にし、協力会社様と信頼関係を築き、その総力をもってお客様に価値をご提供する。この善循環を守り抜くことに、企業の存続が掛かっております。
来期77期は、人財確保を軸とした新たな取り組みを強化いたします。わが社はお客様に選ばれる会社になれているか。協力会社様に信頼されているか。働く仲間にとって誇れる場所になっているか。大切なお客様には、親切な人財で応える。採用から育成までの制度を整え、人財を“たからもの”として磨き上げ、お客様のもとへ安全・安心をお届けする所存です。
本年度も大変お世話になりました。今後とも変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
フィデス株式会社
社長 細矢 充
社員一同



