夏は感電にご用心!
FIDESレター 2026年8月号
感電とは?
感電とは、電化製品や電気設備などから、人の体へ電気が流れることです。感電すると、手に「ビリッ」とした痛みを感じるだけでなく、筋肉のけいれん、やけど、意識障害などが起こることがあります。電気が胸の周辺を通った場合には、心臓や呼吸に重大な影響を与えるおそれもあります。
感電事故は夏に起こりやすい
感電事故は、汗をかく夏に起こりやすくなります。汗で皮膚が濡れると電気が流れやすくなるほか、薄着による肌の露出、雨や水たまり、暑さや疲労による集中力の低下など、複数の危険が重なりやすいため、事故が起こりやすくなるとされています。
夏に危険が高まる4つの理由
①汗をかく
皮膚の電気抵抗が小さくなる
②肌の露出が増える
電気が流れる部分に直接触れやすい
③水気が増える
雨や水たまりが電気の通り道になる
④集中力が低下する
暑さや疲労で異常を見落としやすい
なぜ汗をかくと危険なの?
乾いた皮膚には、電気を流れにくくする一定の抵抗があります。しかし、汗や水分で皮膚が濡れると、その抵抗が小さくなります。そのため、乾いた状態よりも電気が体内へ流れやすくなり、感電したときの危険性が高まります。
電流値と人体への影響
5mA
相当の痛みを感じるが、人体に悪影響を及ぼさない。
20mA
筋肉の収縮が起こり、呼吸も困難な状態。電流が流れ続けると死に至る。
100mA
心肺が停止し、致命的な障害を起こす。
濡れた手でコンセントプラグを持ってはいけません!
人体に流れる電流は「電流(A)=電圧(V)÷抵抗(Ω)」で求められます。皮膚が濡れると抵抗が小さくなるため、仮に人体の内部抵抗を500Ω、接触抵抗を300Ωとすると、家庭用100Vでも100V÷800Ω=0.125A、つまり125mAもの電流が流れます。通電経路や時間によっては、命に関わる重大な障害を起こす危険があります。
感電事故は、『危険の重なり』で起こる!
工事現場で起こった感電災害
猛暑の工場内で、溶接作業中に感電死
気温が30℃を超える蒸し暑い工場内で、作業者が一人でアーク溶接をしていたところ、通電中の溶接棒ホルダーに触れて感電し、死亡しました。発見時、作業服や軍手、地下足袋は大量の汗でびっしょり濡れていました。
出典:厚生労働省「猛暑の中でのアーク溶接作業中に感電死」
雨の中で電動工具を使用し、心肺停止
雨が降る屋外で、作業者が電気ディスクグラインダーのスイッチを入れた瞬間に感電しました。作業者は心肺停止となりましたが、AEDによって蘇生しています。工具の内部に雨水が入り漏電していたほか、機器のアースが接続されておらず、電源側にも漏電遮断器が設けられていませんでした。
出典:経済産業省 中国四国産業保安監督部「最近の電気事故事例」
家庭で起こった感電事故
浴槽内で電動ポンプを使用して感電
浴槽の排水に電動ポンプを使用したところ、傷んだ電源コードから漏電し、使用者が感電しました。ポンプのコードには亀裂があり、内部の線が露出していました。また、プラグの接地極が取り除かれ、接続先のコンセントにもアースと漏電遮断器がありませんでした。
出典:NITE「家庭用電気製品の事故情報」
充電器とコンセントの隙間に端子を差し込む
コンセントから浮いていた電源プラグの隙間に、1歳の子どもがスマートフォンの充電ケーブル端子を入れてしまいました。火花が散り、親指の付け根に電撃傷を負い、通院が必要となりました。
出典:消費者庁「コンセントやプラグでの感電に注意!」
どの事故にも「水分」「機器や配線の不具合」「安全装置の不足」「危険への認識不足」といった要因があります。感電事故は、複数の要因が重なったときに起こりやすくなるのです。
感電を防ぐ!ポイント5選
漏電遮断器の動作テストを行っておく
コードやプラグの傷・変色・発熱を確認する
アースを正しく接続する
濡れた手で電気製品に触れない
水気のある場所では特に注意する
> 接地(アース)とは?
家電製品から伸びている緑色の線を見たことはありませんか?これは『アース線』と呼ばれ、万が一、機器から電気が漏れたとき(漏電時)に感電の危険を減らすためのものです。アース線は、漏れた電気を大地へ流すための通り道をあらかじめ設け、漏電時などに人体に電気が流れる危険を減らします。
> 漏電とは?
漏電は、機器の故障・破損や経年劣化などにより、通常の回路の外へ、意図せず電気が漏れ出してしまう状態を指します。
もし感電事故が起きたら
1.感電している人に素手で触れない
2.安全にできる場合のみ電源を切る
3.すぐに119番へ通報
電源が遮断されたことを確認してから救護し、119番の指示に従ってください。
アース線の取付やコンセントの交換には資格が必要です
アース端子の新設やコンセントの交換、壁の中の配線工事などには、電気工事士の資格が必要です。専門的な知識や技術が必要であり、無資格者が自分で修理を試みることは危険を伴うので、電気工事店へ相談してください。
フィデスでは漏電に関するご相談も受け付けております!
《フリートーク・コラム》「物価高について」
最近、買い物をしていると「また値上がりしたのか」と感じる場面が増えました。食品や日用品、電気・ガス料金、ガソリン代など、生活に欠かせないものの価格が少しずつ上がり、以前と同じように買い物をしているつもりでも、会計時の金額に驚くことがあります。
こうした物価高は、私たちの暮らしに直結する身近な問題です。その背景のひとつに、世界的な原材料価格の高騰があります。石油や天然ガス、小麦などの資源価格が上昇すると、それらを原料として製造される商品の価格にも影響が出ます。また、国際情勢の変化や自然災害などによって物流が停滞したり、輸送費が増加したりすることも、物価上昇の一因となります。さらに、円安が進むと、海外から輸入する商品の価格が高くなり、その影響が国内の販売価格にも反映されます。
物価高の影響は、家庭だけでなく企業にも広がっています。私自身、工事現場で使用する材料などを手配する際に、業者さんから提示される金額が全体的に高くなっている実感があります。原材料費だけでなく、人件費や輸送費の上昇も大きな負担となり、特に中小企業では、仕入れ価格が上がっても、その分をすぐに販売価格へ反映できるとは限りません。価格転嫁が十分に進まなければ、利益を確保することが難しくなり、経営にも影響が出てしまいます。
一方で、適度な物価上昇は、企業の売上や賃金の上昇につながる可能性もあると言われています。長年、日本では物価があまり上がらない状況が続いていましたが、その間、賃金も大きく伸びにくい傾向がありました。物価の上昇に合わせて賃金も上がり、人々の所得が増えれば、消費活動が活発になり、経済全体の成長につながることも期待されます。しかし、実際の生活の中では、賃金の上昇が物価の上昇に追いついていないと感じる場面も少なくありません。収入が増えないまま支出だけが増えれば、生活のゆとりはどうしても失われてしまいます。そのため、物価と賃金のバランスは非常に重要です。
私たち一人ひとりにできることは限られていますが、まずは家計や日々の支出を見直すことが大切だと思います。価格だけでなく、本当に必要なものか、長く使えるものかを考えながら買い物をすることも、これからの時代には必要なのかもしれません。また、節電や節水など、小さな積み重ねも無駄にはならないと感じます。
物価高は、国際情勢や経済環境、為替相場など、さまざまな要素が複雑に関係しているため、すぐに解決できる問題ではありません。それでも、今の状況を正しく知り、家庭でも企業でもできる工夫を重ねていくことが大切です。先行きが見えにくい時代ではありますが、日々の暮らしの中でできることを一つずつ考えながら、安心して生活できる社会になっていくことを願っています。
今月の担当は…
大網チーム
花﨑 茂雄
《それってドーシテ?》蚊に刺される人のドーシテ?
《社長コラム》
2040年問題 変革はすでに始まっている
代表取締役社長 細矢 充
先日、経済産業省主催の『現場ファースト運動(Frontline First Initiative)』の立ち上げをテーマとしたパネルディスカッションに登壇する機会をいただきました。「なぜ私に?」と驚きましたが、多様な人材が活躍できるバックオフィス体制や、電気・空調・衛生のワンストップサービスなど、わが社の取り組みを評価していただき、お声掛けいただいたのだと思います。
冒頭では、経済産業省の赤澤大臣が挨拶をされました。それだけ国としても、現場を支える産業の課題を重要なものとして捉えているのだと感じました。フォーラムでは、ガス、電力、建設、エネルギーインフラなど、それぞれの業界団体から、現場の課題や未来への取り組みが発表されました。どの業種・業態も、「このままでは立ち行かない」という強い危機感を持っています。建設業では、2040年には約60万人の技術者が不足すると推計されています。担い手の確保は喫緊の課題です。例えばスポーツジムで知られるライザップでは、店舗拡大に伴う建設業界の人手不足を受け、自ら建設業へ参入し、未経験者を技能者として育成する取り組みを始めています。
これまでも『○○年問題』と呼ばれる課題はいくつもありました。結果的に何とか乗り越えてきたものもあれば、いつの間にか通り過ぎたものもありました。しかし、建設業界にとって『2040年問題』はそうはいきません。「まだ時間はある」と考えるのは危険です。真正面から受け止め、本気で取り組まなければならない課題です。将来のことを考えると、工期を延ばすことや人件費の増加だけでは、この問題の根本的な解決にはつながらないと思います。人材採用だけで需要と供給のギャップを埋めることも、現実的ではありません。人を育てるには時間がかかります。会社の仕組みを変えるにもエネルギーが必要です。今始めても、決して早すぎることはありません。
今回のパネラーには、現場で技能者として活躍する女性経営者、そして第一種電気工事士の資格を取得し、日本一を目指して努力している工業高校の女子生徒が登壇していました。今回のフォーラムでは、彼女たちの存在感が際立っていました。その姿こそ、『建設業は男性の仕事』という固定観念が、すでに過去のものになりつつあることを物語っていました。建設業の将来を考えれば、極めて自然な流れではないでしょうか。活躍したい人が、活躍できる場所で働く。能力を発揮できる環境を整えることが、人材不足の解決にもつながるはずです。女性が活躍できる場所は建設業には数多くあります。これは間違いありません。わが社では40年以上前から、積算業務を女性が中心となって担ってきました。今では現場に出向いて仕事をする機会も増えています。現場管理、施工図作成、積算、工程管理、品質管理、お客様とのコミュニケーションなど、細やかな気配りや柔軟な発想が求められる場面は数多くあります。
もちろん、AI、DX、ロボット、自動化、機械化など、新しい技術の進歩は想像以上に速く、その可能性はますます広がっています。それでも、建設業においては、それだけで大きな人材不足を埋めることは難しいと考えます。必要なのは、建設業界の雰囲気を変え、『建設業は男性の仕事』という固定観念を打ち破ることです。どれほどAIが進化し、ロボットが普及したとしても、最後に現場を支えるのは『人』です。人間の知恵と創意工夫には、計り知れない力があると信じています。だからこそ、『人』の可能性をさらに広げることが重要だと強く感じます。
未来は待つものではありません。建設業の未来を、自らの手でつくっていく。変革を起こし、多様な人財を採用し、育て、新しい技術を積極的に取り入れる企業こそが、これからの時代に選ばれていくでしょう。今回のフォーラムを通じて、そのことを改めて確信しました。



