FIDESレター 2018年3月号
配電用変圧器とトップランナー
配電用変圧器とは何か?
変圧器の原理と電磁誘導
変圧器はコイルの電磁誘導作用を利用した仕組みになっています。
右図のように鉄心に独立した二つの巻線を施したもので、二つの巻線のうち電源に結ばれる方の巻線を1次側コイル、負荷に結ばれる巻線を2次側コイルとします。1次側コイル(P)に交流電圧を加えると1次側コイルに電流が流れ、この電流によって鉄心内に磁束が生じます。この磁束変化によって、2次側コイル(S)に電圧が誘起されます。
例えば1次側コイルの巻数(N1)が20で、1次側電圧(V1)が20Vとするなら、2次側コイルの巻数(N2)を10にすれば、2次側電圧(V2)は10Vの電圧が生じることになります。このように、1次側のコイルと2次側のコイルの巻数によって、電圧の比を任意に変えることができます。
配電用変圧器の種類
変圧器内部のコイルは電流が通ることで発熱するので、冷却をする必要があります。変圧器の冷却方法は大きく分けて、油の中に入れて冷却する『油入式』と、空気やガスで冷却する『乾式』、コイルをガスで冷却する『ガス絶縁式』があります。
油入変圧器の油は可燃性に対して乾式は油を使用せず、またモールドの樹脂は難燃性、ガス絶縁のガスは不燃ガス(SF6=六フッ化硫黄)を使用しているため油入より防災性が高い特徴があります。
油入式・乾式のいずれも、外部からファンで変圧器を強制的に冷却する風冷式、水を循環させて冷却する水冷式、周囲の空気の対流で冷却する自冷式があります。自冷式はファンも冷却用の水も不要のため、変圧器では多く用いられています。
新しい変圧器への切り替えが省エネに!
古い変圧器を更新すれば、安全性が保たれるうえに、省エネルギー効果も期待できます。
配電用変圧器は、運転時に『無負荷損』『負荷損』という二つの損失が発生します。損失とは、電力が実際に必要なタイミング以外で無駄に使われてしまことで、これによりエネルギーの効率が下がってしまいます。しかし、新しい変圧器であればこの損失を減らすことができ、エネルギーの消費効率をアップすることも可能になります。消費効率が上がれば、自ずと電気料金の削減にもつながります。また、二酸化炭素の排出量も少なくできるため、地球環境にとっても大きなメリットがあります。
変圧器の効率は電気機器の中で最も高いのですが、全体的な数量が多いため、この変圧器の損失の低減は省エネルギー対策になるとして注目されているのです。
トップランナー基準の変圧器で省エネ化を!
トップランナー基準とは、メーカー等の製造事業者に、省エネ型の製品を製造するよう基準値を設けクリアするように課した『エネルギーの使用の合理化に関する法律(以下、省エネ法)』の中の、機械器具に係る措置のことです。現在はトップランナー第二次判断基準が採用されています。
『トップランナー』とは、自動車の燃費基準や電気・ガス石油機器(家電・OA 機器等)の省エネルギー基準を、各々の機器においてエネルギー消費効率が現在商品化されている製品のうち、最も優れている機器の性能以上にするという考え方です。
変圧器の損失の低減は省エネルギー対策になるとしてトップランナー基準方式の対象になっています。なので変圧器を更新する際は、トップランナー基準の変圧器にすると高い省エネ効果に繋がります。
フリートーク・コラム「行動するなら今!」
Fides Freetalk Formation
営業チーム・チームリーダーの筒井と申します。私が所属する営業チームは、お客様のお役に立つ方法やお困りごとの解決方法を常に考えて、具体的な解決を行うセクションです。その活動の一つに松竹梅のご提案があります。
例えばお客様から「事務所内が少し暗いので明るくしたい」とのご要望には、(松)省エネかつ長寿命のLED照明器具へ更新するご提案、(竹)既設照明と台数は一緒で仕様を変更して明るくするご提案、(梅)既設照明と同じ仕様で台数を増設するご提案、と3パターンの御見積りを提示してその中からお客様に選択していただけるような活動を実施しています。お客様からは「選択肢が広がって稟議が上げやすかった」「無駄なコストをかけずに済んだ」とご好評をいただいております。お客様のご要望は様々ですが、少しでもお役に立てるよう更なる提案力と対応力、そして技術力を磨きこもうと日々精進しています。
近年では省エネ技術が発達し、照明器具でいえば蛍光灯からLEDが当たり前の時代になり、有機ELといった次世代商品も徐々に市場に出回ってきております。また、情報通信産業ではIot化が進んでいます。常に周囲の情報に目を配り、最新の情報を集めてお客様にご提供できるようにと考えています。
私のモットーは『常に今を大切に、そして行動するなら今!』です。過去の失敗や経験から学ぶことも非常に大切ですが、あまりに囚われすぎてしまうと躊躇して次の一歩が踏み出せません。その為、『今』を大切にしようと常日頃から心がけるようにしています。
運動不足解消のために始めたロードバイクは私の趣味のひとつです。昨年は富士山や群馬県の榛名山に登りました。9月には一宮町で開催された九十九里トライアスロンに自転車部門で出場し、10月にはツールドちばで3日間かけて房総半島を半周しました(総走行距離は約300キロでした)。自転車で坂道を登る途中は毎回きつくて、「もう無理だ。止まりたい」と弱音を吐きそうになります。でも焦らず慌てず「あと少し、もう少し」と自分に言い聞かせ、頂上に到達したときはとても達成感があります。これから暖かくなる春の季節が来るのが待ち遠しいです。
自転車で鍛えたこの脚でフットワークの軽い動きが出来るように、これからもお客様のお役にたてる営業マンでありたいと思います。どうぞ宜しくお願い致します。
今月の担当は…
営業チーム チームリーダー 筒井 知明
それってドーシテ?「信号機のドーシテ?」
代表取締役社長 細矢 充
フィデス社長コラム「浮利を追わず」
いやあ、この上なく便利になったものだ。現金を持たずとも飲料水が買える。これまでは小銭入れがいつも膨れていたが、Suicaやnanacoなどの電子マネーの登場でそれが解消された。その利便性は自動販売機まで拡大されており、小銭がなくても、お財布ケータイや電子マネーで飲み物が買えるようになった。だが、お財布ケータイで飲み物を購入しようとした際、欲しい商品のボタンを押しても商品が出てこない!『えっえぇ!150円が吸い取られたか!?』などと焦りと疑心を抱くことを何度か経験した。しかし、上手に使えない原因は、正しい操作を知らなかった私自身にあったようだ。
日本の金融機関の信頼性の高さからクレジットカード、Suica、お財布ケータイなどの電子マネーが普及し、キャッシュレスがどんどん進んでいる。しかし、安全だと判っていても、ハッカー行為や成りすまし詐欺などのWebに対する“不安感”と、安易に買えて、後払いなので金銭感覚が麻痺するという“怖さ”が残されている。
最近、ニュースになった『仮想通貨』の流失事件には驚いた。お財布ケータイで飲料水1本を手に入れるのにおたおたするような小心者には、テレビ・マスコミを賑わしている仮想通貨がどうにも理解できないのである。紙幣や硬貨が存在しなくとも、『円』『ドル』『ユーロ』などと同じ通貨として流通するということが納得できない。『人生ゲーム』にさえ紙幣はあるし、ママゴトにだって『葉っぱのお金』が存在するというのに、実社会において、現物が実在しないものに投機するとか、存在する商品やサービスの売買に仮想通貨を使うことが信じられない。今回の事件では、磐石なセキュリティを以てしても、いとも簡単に580億円相当の仮想通貨がWEB上で強盗にあってしまったのだ。これが現金であれば、運ぶことが出来ないほどの大金であり、そう易々と盗まれることはないであろう。さらに驚くことは、仮想通貨取引所の20代の社長が、自己資金により不正流出相当額を『日本円』で返金すると発表したが、どこから巨額なマネーが出てくるのか?皆目見当がつかない。『おとぎ話』に出てくる『打ち出の小槌』を持っているのと揶揄したくなる。 『仮想通貨』が一年間で20倍に価値が高騰したという、巨額なマネーを誰かが手にしているのだろうか。
しかし、このバブルは、いつかは崩壊することになると思う。というのも、一般的なビジネスでは、新たに生み出した価値や付け加えた価値の対価として、それ相当分の利益を得ることが出来るのである。仮想通貨はどんな商品やサービスを提供し、価値を高めたのだろうか。『仮想通貨』は、おとぎ話の狸に化かされ、葉っぱのお札を握らされているように思えるのは私だけだろうか?おとぎ話の 『アリとキリギリス』や『ウサギとかめ』のように、大概の結末は正直者に軍配が上がるのだ。汗をかいてこつこつと努力した人が最後は成果を得ると教えられた。そんなことを言うと時代遅れとされてしまうのかもしれない。いやあ!そんなことはない。基本的には多くの企業は、『ウサギとかめ』であると信じている。
わが社でも全社員が役割を分担し、営業担当者は、何度もなんども訪問して、漸く引き合いをいただける。その後、顧客様の要求にお応えするために現場を調査、設計して見積書をご提示する。更にそこから入札や見積書による商談が始まり、ご下命をいただける。しかし、まだ利益は生まれない。お客様のご要望通り『安心で快適な建築・生産設備』を工期内にお引き渡しする。そして金をいただけるのだ。
2020年オリンピック・パラリピック東京大会の開会前と閉会後では、『時代のうねり』が生まれ、舵取りが難しい経済状況になる。生き残りを懸けて業界の再編成や異業種間の合併など、業務業態が目覚ましく変わっていくと推測できる。
わが社の創業者はいかなる場面でも『浮利を追わない』と常々社員に伝えていた。その教えがあるからこそ、フィデスは存続しているのだ。体を動かして汗をかき、脳みそにも汗をかいて、愚直に目の前のお客様のお役に立つ技術やサービスをご提供して、堂々と対価をいただく“教え”は普遍的である。
本来、『おとぎ話』は、大人が子供に語って聞かせる昔話や伝説などを指すものだが、それを伝える事ができない大人たちが増えたようだ。改めて、企業の『おとぎ話』を後世に伝えたい。