FIDESレター 2023年12月号
配線器具のプロテクトガイド
年末になり、大掃除のシーズンとなりました。今回は、配線器具であるスイッチやコンセントのお手入れ方法や、使い方の注意点などについてご紹介致します。他にも、スイッチやコンセントを移動したい、又は増設したい時の注意点や、この時期に気を付けたい電気火災などついてもご紹介しますので、ぜひ活用して2023年、良い年末をお過ごしください。
配線器具の点検をしましょう
全国の消費生活センターを取りまとめている国民生活センターでは、配線器具が原因と推測される火災の発生が毎年報告されています。スイッチやコンセントなどの配線器具は、寿命になると器具から発熱し、最悪の場合、器具が焼損し、火災になる危険があります。また、照明スイッチやコンセントなどに物理的な負荷がかかると器具が劣化しやすくなり、寿命が短くなってしまいます。日常から定期的に点検をするなどをして、火災の発生を防ぎましょう。
配線器具のお手入れについて
基本的に配線器具の汚れは、柔らかい乾いた布で傷をつけないように優しくふき取りましょう。どうしても汚れが取れない場合は、水気を固く絞った雑巾で配線器具の汚れを拭き取ってください。水気が多く残っていると電気が流れて大変危険なので、完全に水気が乾いてからブレーカーをオンにするようにしましょう。
配線器具の工事をしたい…けれど、無資格工事はNG!
家具の制作や設備の修繕など、建物のカスタマイズを自分で行う、いわゆる『DIY』が流行していますが、ご自身が所有している建物であっても、スイッチやコンセント、照明などの電気系統に関わる工事は国家資格である『電気工事士』の資格が必要になります。電気工事をするにあたり、この資格を取得せず、無資格で工事をした場合、電気工事士法第3条により、懲役又は罰金が処せられます。
資格を持たない者による電気工事は、不良工事に伴う漏電等による火災や感電の他、周辺への波及災害を引き起こす恐れがあり、大変危険です。トラブルを防ぐためにも、電気工事店などに工事を依頼するようにしましょう。
テーブルタップの出火
複数の機器をテーブルタップにつないで同時に稼働させることで、テーブルタップの許容量を越えてしまい、過電流の状態になります。すると、テーブルタップのコード部分が熱せられ被覆が溶けてショート※(右下参照)を起こし、火花が散って火災の原因になることがあります。テーブルタップなどは、使用できる電気の量が定められているので(下部記事参照)、注意が必要です。
トラッキング現象による火災に注意
トラッキング現象とは、コンセントに差し込んだプラグの差し刃間に付着した綿やホコリ等が湿気を帯び、微小なスパークを繰り返し、やがて差し刃間に電気回路が形成され、出火する現象のことです。トラッキング現象による火災は、棚裏のコンセントなど隠れた部分で発生することから、発見が遅れて思わぬ被害に繋がる場合があります。長時間差したままのプラグ等は、定期的に点検し、乾いた布等で清掃し、発熱等の異常がある場合は、交換することをおすすめします。
※ショート(短絡)とは?
電気が決められた道順(回路)を通らずに、裸の銅線と銅線が接触した部分を近道してしまうことをショート(短絡)といいます。短絡が起きると、非常に大きな電線が流れて火災を起こす原因になります。
乾電池で例えると、+極と-極の間に豆電球等をつながずに、直接導線などで結ばれた状態。回路の抵抗が小さいので、大きな電流が流れてしまい、とても危険です。
コンセント(テーブルタップ)と定格容量
コンセントやテーブルタップに電気製品と繋げて使用するには、定格容量という電力の制限があります。取扱説明書などでよく確認の上、電気製品の消費電力と、コンセントやテーブルタップの定格容量を確認して使いましょう。通常、コンセントやテーブルタップの最大容量は1,500W程ですが、中には異なるものもありますので注意が必要です。
フリートーク・コラム「欧州の旅と未知の冒険」
今月は社長コラム同様に海外研修旅行について綴ります。五年ぶりとなる海外研修旅行の行先はスペインです。
今回の海外研修旅行で一番印象が残ったのは、スペインに到着した翌日、一日目での出来事です。私は若手メンバーと二人でスペインの古代都市であるトレドへ向かう計画をしていました。二日目以降はチケットを事前に用意していましたが、ホテルから近場のトレドに行くのであれば、当日の手配で大丈夫だろうと考えていました。ところが当日、難問が次々と発生しました。まずホテルの最寄り駅からトレド行きまでの鉄道乗車チケットの購入が第一関門となりました。券売機でトレド行きのチケットを購入するだけなのですが、どうやら券売機に何らかの情報を入力しなければチケットを購入出来ないようで、何を入力しなければならないのかが分かりません。そうこうすること十分程度悩んでいると、隣から日本語が聞こえて来ました。隣を見ると日本人親子が、私たちと同様にトレド行きのチケットを購入しているところでした。話を聞くと乗車する人のパスポート情報を入力しなければチケットを購入出来ないとの事です。その親子のおかげで無事にチケットを購入し、トレドへ向かう事が出来ました。
トレド駅に到着したところ、トレドの観光客の多さを目の当たりにし、これは事前に帰りの高速鉄道のチケットを購入しておこうと考えました。ところが帰る予定の高速鉄道はすべてソールドアウトと言われ愕然、第二関門の発生です。トレドが幾ら近いとはいえ、ホテルがあるマドリードまでは約九十キロの距離になります。悩んだ末、出発前に日本で調べた情報に『高速バスでも移動できる』という記載があったことを思い出し、急いで若手メンバーにインターネットでチケットを購入して貰い、帰りの交通手段を確保しました。あまり時間もない為タクシーでトレド大聖堂へ向かい、その後は街並みを散策しながら昼食を取り、帰路へ向かいました。この時、購入したチケットには『トレド駅で高速バスに乗れる』と明記されていましたが、朝に駅で降りた時にはバスを見ていないなあ、と一抹の不安を抱えながらトレド駅へと向かいました。不安は的中、駅に到着するも三十分おきに来るはずの高速バスは目視出来ず、若手メンバーとインターネットで調べに調べ、ようやくグーグルマップでバス停を発見する事が出来ました。そこはトレド駅から徒歩で十五分程度離れている場所で、慌ててマップの位置へと向かいますが、何故かバス停が発見出来ず、辺りを右往左往していると、その場所の地下にバスが何台も並んでいる場所を発見しました。ここが高速バスのターミナルだ!と歓喜し、やっとの思いでホテルへの帰路に就くことが出来ました。この一日だけでとても内容の濃い経験をしました。また、難問にぶつかっても、色々調べれば何とかなるものだと感じました。過去のヨーロッパの研修旅行の中でも充実した日々を送ったと思います。
今回は研修旅行でしたが、まだまだスペインの魅力は沢山あるので、いつかまた、個人でも旅をしてみたいと思いました。
今月の担当は…
東京ベイ・サテライト マネージャー
小川 邦雄
それってドーシテ?「119番のドーシテ?」
代表取締役社長 細矢 充
フィデス社長コラム スペインからのエール
先月、5年ぶりの海外研修旅行でスペインに行ってきました。2019年には8,000万人を超えるインバウンドがあったスペインは、コロナ感染症によるロックダウンから一挙に持ち直し、首都マドリードの街角には人が溢れ、賑わっていました。来る者を拒まず、移民、難民、観光客、誰でも受け入れる風土があり、より多様化が進んでいるようです。
トランジットで立ち寄ったトルコのイスタンブール空港では、生ビールが驚愕の2,000円!それに比べれば、スペインでは思ったほど物価が高いとは感じず、住みやすい都市のようです。今回の研修では、サグラダファミリアや美術館の観光、情熱的なフラメンコの鑑賞、スペイン料理やお酒を楽しむバルでの食事、地元の市場での買い物など、陽気でフレンドリーなスペイン人との交流ができました。
また、スペイン人の生活感や働き方の話を聞き、肌で感じ、充実した時間となりました。日本生まれの現地案内人は、マドリードに住んで20年ほど。自らのキャリアやスキルを武器にフリーランスで仕事を掴んできた彼女は、「日本は誇れる技術力を持っているので、安売りせずに堂々と利益を上げるべき」、「年功序列や一律化された給料ではなく、能力や成果に見合った報酬を受け取るべきだ」と言います。確かにその通りで、時間とお金の両方がなければ豊かな暮らしは実現できません。どちらもお客様が求める価値を提供した評価から生まれる代価であり、社会貢献にも繋がります。自らの手で、『時間』と『お金』を創り出せるビジネスモデルが、良い会社の条件であると確信しました。
また、スペインでは、今年3月に上場企業の女性取締役を40%以上にする『ジェンダー平等法案』が可決されたばかりで、女性の能力を高く評価しています。「現場監督員や現場支援としての女性の採用を是非とも続けて、日本の建設業界に新風を吹かせてほしい」と、フィデスが目指す『生産性を高め、付加価値を生み出して儲けるビジネス』へ、スペインからエールをいただきました。
さて、フィデスレター2023年7月号で、「世界は未だ未だ広い、お手本は無限にある、社員に『人生を楽しみ、学ぶ』機会を提供し、自ら創造させれば必ずや新しい発想が生まれます」と締め括りました。事実、若い社員は初めての海外研修を翻訳アプリなどのデジタル技術を巧みに使い、私が今まで海外で伝えきれなかった感情や言語の壁を簡単に乗り越えてしまうことに驚きました。デジタルを自在に操る力は、新たなビジネスチャンスへと繋がる可能性を感じました。
今年も1年間、ありがとうございました。新年号ではその思いを“初夢”としてお伝え致します。乞うご期待ください。